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平成22年度第1回 旬の選りすぐり産品特集~厚木のぶどう(藤稔)~

特集 旬の選りすぐり

平成22年度第1回 旬の選りすぐり産品特集は、厚木のぶどう(藤稔)です。

今回は、神奈川県厚木市でぶどう(藤稔)を生産している3名の生産者さんにお話を伺いました。

(取材協力:厚木市農業協同組合、野菜ソムリエコミュニティかながわ)

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厚木のぶどうを「かなさんの畑」で購入できます!

本特集の公開にあわせて、かなさんの畑では「厚木のぶどう(藤稔)」を50ケース限定で販売します。

今回の商品は、お話を伺った3名の生産者に丁寧に育てられたものです。ぜひお買い求めください。

販売は終了しました。

ご注文されたお客様へ(支払方法などについて)

 

今回のかなさん

今回の生産者は、厚木市農業協同組合に所属されています。

栁下浩幸さん

氏名……………栁下 浩幸(やぎした ひろゆき)さん

生産地…………厚木市(相川地区)

主な販売品……10数種類のぶどうのほか、イチゴ、マスクメロン、梨、柿、ハチミツなど

私のこだわり…植物が本来持っている力を自然に伸ばせる環境を作ってあげたい。
       そのために自分なりに研究し、積極的に新しい栽培方法も取り入れています。

鈴木博久さん鈴木祐紀さん

氏名…………………鈴木 博久(すずき ひろひさ)さん、祐紀(ひろき)さん

生産地………………厚木市(依知地区)

主な販売品…………10種以上のぶどう、梨、米

私たちのこだわり…おいしく安心して食べていただけるぶどうをお届けするため、
         常に情報にアンテナを張り、失敗も覚悟で様々な栽培方法や新品種の
         栽培にチャレンジしています。それがまた、最高に楽しい!

今回は、私たち「野菜ソムリエコミュニティかながわ」が厚木のぶどう(藤稔(ふじみのり))を取材しました!

  • 私たちは、日本野菜ソムリエ協会の認定する「野菜ソムリエ」として、神奈川県の野菜や果物を広めていく活動をしております。
  • 神奈川県は、山あり、川あり、海ありと豊かな自然にも恵まれ、おいしい野菜や果物を生産しています!
  • また、都市部に近いということもあります。ぜひみなさんも、神奈川の野菜や果物を愉しみましょう!

野菜ソムリエコミュニティかながわについては、下記ホームページもご覧ください。
http://vfckanagawa.cocolog-nifty.com/

左:野菜ソムリエ 寺田奈津恵さん 右:生産者 栁下浩幸さん   左:野菜ソムリエ 石川アミさん 右:生産者 鈴木祐紀さん

左:野菜ソムリエ 寺田 奈津恵さん

右:生産者 栁下 浩幸さん

 

左:野菜ソムリエ 石川 アミさん

右:生産者 鈴木 祐紀さん

藤稔への「熱~い思い」

藤稔

私と藤稔の出会いは、当時勤務していた仙台市内の青果店でのこと。
そのゴルフボール大ほどもある濃紫のぶどうは、全国各地から集めた珍しい品種の野菜や果物を並べるその店で、ひときわ目を引いていました。

期待に胸を膨らませ、見事な粒を手に取り、やや厚めの皮をするりっ。
それを丸ごとほおばると、滑らかな果肉から「じゅわー」っと口中いっぱいに果汁があふれ出し…。
ん~、思い出すだけで、ごっくん!
藤稔のさっぱりとした甘さとかすかな酸味の絶妙なバランス、みすみずしさ、そしてなんといってもその食べ応えに、私も家族もみんな虜になったのでした。

藤稔

その夜、藤稔の生い立ちが気になって調べてみたところ…。なんと私の地元、湘南の生まれではないですか!
藤稔は、藤沢市長後の青木一直さんが「多くの人に喜ばれるぶどうを作りたい」という一心で何度も交配を試みて、今から20年以上前、苦労の末育成に成功した品種だったのです。
その後青木さんは、藤稔の栽培技術を惜しみなく日本各地のぶどう生産者に伝授し、また中国などにも赴いて栽培指導をされたそう。

そうか!! 藤稔の「藤」は藤沢の「藤」なのね!
湘南にそんな素晴らしいぶどうの育成者の方がいたなんて…。

ただ残念ながら、神奈川県でもまだ一般的には流通していないという藤稔を、その後仙台で見かけることはできませんでした。

ご存知でしたか? 厚木はぶどうの「特産地」

藤稔

それから3年。今春やっと湘南に戻った私に、藤稔の生産者さんを訪れるチャンスが!
ん、でも、場所は厚木市。 「あれ、厚木でぶどう???」
厚木市には首都圏からのアクセスが良く交通量も多いベッドタウン、というイメージを持っていましたが、調べてみると実は広大肥沃な相模平野とその南北を貫通する相模川の豊かな水源に恵まれ、米、野菜、果物など数多くの農産物が栽培されています。
なかでもぶどうは、「かながわブランド(※)」にも認定されている特産品で、観光農園や直売所にも多くの方が訪れるそう。そちらで巨峰と張り合う人気品種が、「藤稔」なのだとか。

かながわブランドロゴ

※「かながわブランド」

品質や生産体制などについて一定の基準を満たしている、県内各地の農林水産物およびその加工品。
平成22年8月1日現在で、61品目103ブランドが登録されている。

大きな「たらい」にぶどうの木…!?

藤稔

その人気の理由をひもとくべく、ぶどう農家さんを訪ねたのは7月初旬。
梅雨の晴れ間の太陽がさんさんと照りつける朝でした。

まずは、厚木インターからほど近い相川地区の「栁下園」さんへ。
こちらは露地栽培のほか、ハウス栽培にも力を入れ、10数種のぶどうを育てています。

ぶどうは、多雨・多湿により病害を起こしやすい作物なので、ハウスによる雨よけが病気の抑制になり、ひいては減農薬、品質向上につながるといわれています。
ぶどうの大産地などではハウス生産者も徐々に増えていますが、栁下さんは、市内で初めてハウス栽培を取り入れた先進的な生産者さんなのです。

そのハウスの中にお邪魔してみると…。
なんと、ぶどうの木が1本ずつ、土の入った大きなたらい(のようなもの)に植えられているではありませんか。私たちは、初めて見る光景にびっくり!

これは「根域(こんいき)栽培」とよばれる栽培法に、栁下さんが独自の工夫を加えて編み出した育て方なのだと教えてくださいました。

通常ぶどうの根は生長とともに土壌にぐんぐん広がっていきますが、根域栽培では根を張る場所が制限されるため、それぞれの木の状態に合わせて個別に水や肥料を与えられます。その結果、どの木もよいコンディションを保ち、全体的に品質のよい果実をつけることができるのです。
また生産者の方にとっては、作業効率が良く、肥料等の節約と環境負荷の軽減になるというメリットもあります。

失敗、失敗、失敗…そして成功!

栁下浩幸さんと鈴木祐紀さん

このような独自の栽培方法にチャレンジするのも、「とにかく楽をしたいだけだから」と笑う栁下さんですが、その笑顔の裏にはぶどう栽培にかける強い思いと誇りが隠されているようです。
その証に、こんなこともおっしゃっていました。
「甘い?とかおいしい?って、お客さんに聞かれて正直ちょっと困っちゃうこともあるなあ。ぶどうのおいしさは糖度の高さだけで決まるわけじゃないし、品種によって個性があるから面白いんだよね。うちは、どの品種もとにかく自信をもってお客さんに勧められる品質のものを作るだけだよ」と。

栁下浩幸さんと寺田奈津恵さん

それに、今でこそ話題となっている「藤稔」ですが、栁下さんがその栽培を始めたのは、約25年も前のこと。藤稔の育成者である青木一直さんから直々に、その苗木を譲り受けたのがきっかけでした。
しかも最初の3本は上手く育たなかったのですが、あきらめずに育て、4本目でようやく自分の満足のいくできになったそう。藤稔と栁下さんは、なが~い付き合いなんですね。

品種も栽培方法も、いち早く新しいものに取組む姿は、周囲の生産者さんにもきっと良い刺激を与えているのではないかと感じました。

「一文字仕立て」のヒ・ミ・ツ

鈴木祐紀さんと寺田奈津恵さん

続いて私たちが向かったのは、依知(えち)地区の「鈴木果樹園」さん。
昭和53年から露地で梨やぶどうを栽培している鈴木博久さんと、息子の祐紀さんが出迎えてくださいました。

「この周辺の土壌は関東ローム層が分布していて、その土とこの場所の高さのおかげで水はけがいい。ぶどうの栽培適地なんですよ」と博久さん。
ぶどうはカスピ海・コーカサス地方に自生していた野生種がルーツといわれ、湿気を嫌い、乾燥を好みます。依知地区の土は、ぶどうをおいしくしてくれる居心地のよいベッドなのですね。

藤稔

鈴木さんのぶどう園で、まだ青くて小さい藤稔の棚を見上げると、真四角のマス目状に張り巡らされた棚線に、テープで何ヶ所かつるが固定されていました。
さきほどの栁下さんのぶどう園で見たものも同じく、そのつるは見事一直線に伸びていました。

これは「一文字仕立て」と呼ばれる栽培方法なのだそう。品質のよいぶどうを作るためには日当たりを良くすることが大切なポイントですが、この仕立て方だとつるや葉が込み合いにくく、一房一房がまんべんなく日光にあたって全体的に甘味が増し、色づきもよくなります。

また、房が一列に整然と並んでいるため、ぶどう狩りなどで見る四方八方につるが伸びた仕立て方に比べて、剪定や摘果、袋かけなど収穫までにかかる多くの作業がはかどることも、生産者さんにとってはとても助かるのだそう。

苦労の分だけ喜びもひとしお

鈴木博久さん

このように整えられた畑で、鈴木さんはパートさんの力も借りながら、内側や下向きについた未熟果をはさみで丁寧に摘果し、藤稔の一房の着果数を25~30粒に抑えています。こうすることで房の形も美しく整い、どの粒にも甘味が行き届くように仕上がるのです。

「ぶどうは梨よりも何倍も手間がかかる。でもその苦労に見合う品質のものができた時のうれしさも、梨の何倍もありますね」
ときには遠方に視察にも出かけ、常に栽培に関する新しい情報を収集し、試行錯誤しながらおいしいぶどう作りにチャレンジしている鈴木さん親子。
藤沢生まれのぶどうは、おなじかながわの生産者の方々の工夫で、さらに進化しているように思われました。

短い旬をお見逃しなく!

藤稔

それにしても、この日の気温はいったい何度あったのでしょう?
お話を聞いた午前中だけでも玉のように汗が流れ、帰宅後は倒れそうになってしまった私。

日本人と思えないくらい(ごめんなさいっ)、真っ黒に日焼けした栁下さんと鈴木祐紀さんの顔、そして鈴木博久さんの黒く色が変わった分厚い爪を思いだしながら、「いいぶどうを作るのは、決して‘楽’じゃない」としみじみ思ったのです。

栁下さんと鈴木さん親子の藤稔(露地栽培)は9月初旬のわずかな期間、味わうことができます。
こだわりと情熱がいっぱいに詰まった大粒をいただけるシアワセ、ぜひみなさんも「じゅわ~」っとかみしめてください。

<この特集の執筆は、野菜ソムリエの寺田奈津恵さんにお願いしました。>

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