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平成22年度第3回 旬の選りすぐり産品特集~かなさんの新海苔畑~

特集 旬の選りすぐり

平成22年度第3回 旬の選りすぐり産品特集は、「かなさんの新海苔畑」です。

※「かなさんの新海苔畑」の内容:

走水の新海苔(焼き)
2帖(10枚×2袋)
走水の新海苔(乾)
1帖(10枚×1袋)
そのまま食べれるのりカップ
1袋(24枚)
三浦芽ひじき
1袋(30g)
カットわかめ
1袋(30g)
アカモク
1袋(25g)

 

今回は、海苔の養殖をしている海苔師さんと、私たちの食卓まで海苔などの水産物を届けてくれる販売者、神奈川県漁業協同組合連合会の方々にお話を伺いました。

(取材協力:海苔師 藤野忠宏氏、神奈川県漁業協同組合連合会、野菜ソムリエコミュニティかながわ)

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「かなさんの新海苔畑」を、かなさんの畑で購入できます!

本特集の公開にあわせて、かなさんの畑では「かなさんの新海苔畑」を30箱限定で販売します。

今回の商品は、生産者さんが丁寧に育て、神奈川県漁業協同組合連合会のみなさんが心をこめて私たちの食卓まで届けてくれるものです。ぜひお買い求めください。

販売は終了しました。

ご注文されたお客様へ(支払方法などについて)

 

今回のかなさん

今回お話を伺ったのは、横須賀市走水で海苔を養殖している海苔師さん・藤野忠宏氏(横須賀市東部漁業協同組合走水大津支所 所属)と、海苔の加工や販売をされている神奈川県漁業協同組合連合会の方々です。

 

藤野忠宏さん

氏名………………藤野 忠宏
生産地……………横須賀市走水
主な販売品………海苔、地魚、貸しボート
海苔師さんは、養殖から、海苔漉(す)きして乾かし、成形、束ねるといった一次加工までをおこないます。

 

神奈川県漁業協同組合連合会のみなさん

神奈川県漁業協同組合連合会のみなさん

神奈川県漁業協同組合連合会では、海苔師さんたちが一次加工までをおこなった海苔を入札し、その焼きや成型といった二次加工と販売をおこなっています。
海苔以外にも様々な水産物やその加工品を取り扱っており、敷地内には新鮮な水産物を味わえる食堂「ぎょれん市場」もあります。お近くにいらした際は、ぜひお立ち寄りください!

今回は、私たち「野菜ソムリエコミュニティかながわ」が走水の新海苔を取材しました!

  • 私たちは、日本野菜ソムリエ協会の認定する「野菜ソムリエ」として、神奈川県の野菜や果物を広めていく活動をしております。
  • 神奈川県は、山あり、川あり、海ありと豊かな自然にも恵まれ、おいしい野菜や果物を生産しています!
  • また、都市部に近いということもあります。ぜひみなさんも、神奈川の野菜や果物を愉しみましょう!

野菜ソムリエコミュニティかながわについては、下記ホームページもご覧ください。
http://vfckanagawa.cocolog-nifty.com/

 

野菜ソムリエ 石川アミさん
野菜ソムリエ 石川アミさん

私たちの身近にある「海苔」。でも…

海苔

海苔、のり。幼稚園児の我が子は、海苔大好き。1歳を過ぎた頃から、海苔を出さなきゃご飯を食べないんじゃないかと思うほど、海苔の有る無しでご飯の進み方が極端にちがいました。私自身も日常的に海苔を食べて暮らしていました。けれど、その存在があまりに当たり前すぎて、海苔の「味」に思いをめぐらすことなどありませんでした。

それが、今回の取材で改めて海苔を味わってみて、まず私の心を占めたのは「も、もったいなかった、これまでの人生…」という思い。なぜなら、それはこれまで体験したことないとても素晴らしいもので、私は海苔を全くと言っていいほど知らずにつきあっていた、と思い知らされる味だったからです。

その味は…

海苔をほおばる石川さん

色は、海中で見る海苔の赤さをほんのりと帯びた濃い黒。つやつやとしたみかけとは裏腹な、なにかしっとりとした手触り。それでもちぎって口の中にねじ込む時には、パリリパリリと音がして、噛むにつれじわじわと溶けて、旨味と香りが広がってきました。
「ん?なんだこの旨味は…貝?牡蠣(かき)?そうだ牡蠣(かき)の旨味に似てる…え?海苔は牡蠣(かき)の味?やや、待てよ、貝類が海藻を食べるんだから、ヤツらが海苔の味??」
と、想像を超える旨味体験に、頭も大混乱。そして先にも書いた通り、こんなにおいしい味を知らずに生きてきたことが激しく悔やまれたのです。なぜ、いつも食べているはずの海苔と、こんなにも味がちがっているのでしょう。

海苔の季節は

横須賀市走水の海岸
横須賀市走水の海岸

ところで、海苔にも季節がある、ということを皆さんはご存知だったでしょうか?かなさんの畑で神奈川の産物をお買い求めくださる方は、比較的年齢層が高い、ということですので、きっとご存知の方も多いことでしょう…
一方、野菜ソムリエである私は…
野菜を通して季節を感じ、暮らしを愉しんでいる、と自負していました。施設栽培が中心のトマトでさえ、朝夕の気温差などによって味わいが異なることを知り、「夜冷えて来たから、味がのってきたよ」と言ったような生産者のつぶやきにヘーホー感心しながらすごしていました。また、海の幸だって大好き。漁師さんから直接お魚を分けてもらい、出世魚の名前が変わって行くのをおもしろがったり、子どもと一緒にわかめ拾いに興じたり…それなのに、ああそれなのに、海苔の季節を知りませんでした。

生産者の方

神奈川の海苔の季節は、11月から4月上旬と言われています。わかめが春を告げるイメージなら、海苔は冬の到来とともに、水温が低下し新芽がぐっと成長した頃から収穫が始まります。収穫した海苔は、生の状態では劣化が早いため、その日のうちに乾燥するところまで加工しなければなりません。海苔師さんが、夜明けの収穫から始まり、加工が済む夜中までフル稼働する時期が、この期間ということです。

なんだ季節といっても半年ちかくも?と思ったのは私の負け惜しみ。一口に海苔と言っても、収穫のタイミングや加工の状態などによって様々な種類に分けられ、その味わいが異なるそうです。

海苔の赤ちゃんを養殖用の網に付着させます。
海苔の赤ちゃんを養殖用の網に
付着させます。
収穫用の船を海苔網にもぐらせて、成長した海苔を摘み取ります。
収穫用の船を海苔網にもぐらせて、
成長した海苔を摘み取ります。
摘み取った海苔は、洗う、きざむ、すくなど様々な工程を経てから、温風で乾かします。
摘み取った海苔は、洗う、きざむ、
すくなど様々な工程を経てから、
温風で乾かします。

まず収穫のタイミングですが、海苔は「その収穫を運に任せるから運草」と呼ばれたほど、天候、海況によって左右されるため、毎年同じという訳にはいきません。今シーズンは酷暑の影響か、走水では11月の下旬からようやく始まったそうです。それでも、この、網から最初に摘み取る新芽は柔らかくて香りが高く、毎年、今か今かと待ちわびている人がいるほどなのだそうです。それもそのはず。今でこそ秋に種まきをして発芽した海苔を網ごと冷凍しておき、時期をずらし網を張り替えるごとに新芽を収穫することが出来るようになりましたが、養殖技術が未発達だった頃は、この新芽の摘み取りのチャンスは1年に一度きり。そのせいでしょうか、一番摘みと言われる新海苔が手に入る機会が増えた今でも、最初の海苔はそれぞれの海苔師さんと古くからおつきあいしているお客様との間で売約済みのこともあり、それでなくても生産量の少ない神奈川では、一般にはなかなか出回らないんだとか。新海苔をワクワク待ちわびることがきっと愉しいのでしょうね、舌だけではなく心でも味わえたら、一層おいしく感じるのかも。
とは言え、特に今シーズンのような天候では、むしろ寒さとともに品質がよくなっている傾向も見られるとのこと。おいしいタイミングは今も続いているのです。

さて私が、取材時点の1月12日にごちそうになった海苔も、そんなおいしいタイミングの「乾海苔」。「乾海苔」とは収穫してからすぐに洗い、小さな甲殻類などの異物を丁寧に取り除いてから漉(す)き、35度前後の温風で2時間ほど乾燥させた海苔のこと。海苔、と言われて思い浮かぶ焼き海苔とは、異なる加工の状態です。

黒くてつやつや、香ばしい「乾海苔」のできあがり。
黒くてつやつや、香ばしい「乾海苔」
のできあがり。

この状態こそが、今まで食べていた海苔とは全くちがう、感動的な味わいの理由。生では劣化しやすい海苔に最小限の加工を加えた、海苔本来の味と言ってもいいのかもしれません。一度味わったら忘れることはもう出来ない旨さ。ただ、この乾海苔の状態は新鮮すぎて、そのまま販売出来る期間はせいぜい1月いっぱいまで…それを過ぎたら、シーズン中頃までの販売に耐える状態までもう一度乾燥をかけ、新海苔の乾海苔として流通させます。惜しくも、今回販売する乾海苔はこの状態のものですが、それでも乾海苔のおいしさは格別です。

漁連の高野さん

さあ、乾海苔の深い味わいを堪能したら、次は自分の手で炙(あぶ)ってみましょう。そう、私がこれまで手にしてきたのは、この乾海苔をその名の通り更に焼いた状態のもの。焼き海苔と佃煮と味付け海苔くらいしか知らなかった私。焼き海苔を軽く炙(あぶ)ったことはあっても、乾海苔はない!そんな私のために、漁連の高野さん(写真右)が炙(あぶ)り方を教えてくれました。
まず海苔の表(つやつやの面)と裏(ざらつきのある面)を確認。いきなり炙(あぶ)るのではなく、遠火にかざして海苔を温めるように水分を飛ばしてから、さっ、さっと火に触れるように焼くと上手に焼けるそう。他にも、海苔の炙(あぶ)り方虎の巻をあれこれ見ると、裏は凹凸がこげやすいので、表を長めに裏は短めに、とか直火ではなく熱したフライパンや網の上で炙(あぶ)るなどとあり、それほど難しくはない。

どら、と挑戦してみると、黒々とした闇からいきなり五月の森で目覚めるような、はっとするほど美しい緑へと変わる瞬間を目の当たりにしたり、立ちのぼる芳ばしい磯の香りに思わず目を閉じて深呼吸してしまったり、自分で炙(あぶ)るという行為は海苔の大きな愉しみの1つじゃぁないですか!そして自分で焼いた海苔の、これまたおいしいことと言ったら…ご飯も醤油もないのに、1人コンロの前で数枚を平らげてしまったことは、子どもには内緒にしておきます。

 

ただ、これで海苔のおいしさがわかったと思うのはまだまだ早いとか。海苔自体は1つの網で4~5回の収穫ができるそうで、一度摘み取ると、次は2週間から3週間後。収穫を重ねるにつれて海苔の葉が変化するので、味や硬さがかわり、それによって用途もかわります。刻み海苔にした時に、そばの上でも角がピンと立つのが良いと言うおそば屋さんもいれば、ラーメンのトッピングには、終盤に摘み取られる硬さのある海苔が人気で、わざわざこのタイミングを指定して買う方もいると聞き、「どうしてあそこまで海苔を…?」と長年疑問だった、どんぶりのふちにぱりっとした海苔をエリマキトカゲみたいに貼ったラーメンの謎も解けました。4番摘みの海苔でラーメンも食べてみたい…

これだけ、海苔のおいしさがわかっただけでも、我家の食卓は、というか人生は豊かになります。海苔好きの子どもと、毎年毎年、新海苔の季節を愉しみながら暮らせるのですから。

神奈川の海苔

でも神奈川の海苔の価値は、それだけではありません。江戸時代の後期から商っていた海苔問屋さんたちの組合(大森本場乾海苔問屋協同組合)にも、長年神奈川の海苔を贔屓にしている人がいるのだそう。古代から献上品として珍重され、家康にも愛されたといわれ、江戸中期には庶民の食文化として広まったとされる海苔。養殖海苔発祥の地と言われる大森と同様に、東京湾の良質産地として神奈川は注目されていた、と言います。

実際に、現在でも組合で行われる海苔の入札では、神奈川の海苔は高値傾向で取引されていて、取材当日は、生産者を守る立場でもある漁連が、高めの入札をしても、落札出来たのはその日持ち込んだ量の1/4程度。全国海苔貝類漁業協同組合連合会によれば、平成19年度、神奈川の海苔、出荷量は全量のわずか0.2%にも満たないけれど、平均単価は、千葉、佐賀、に続いて、第3位の値をつけているのです。

走水の藤野さん

今回お話を聞いた海苔師、走水の藤野さん(写真左)は、東京湾での海苔づくりについてこう語っています。
「関東平野の良い水源から、人の暮らしと自然とのバランスのとれた、海苔栽培に適した水が、東京湾に流れ込んで来る。自然がいっぱいあれば良いわけではなく、人の営みのないところでは海苔は育たない。東京湾の今ある漁場は守っていかないと…」

どんなに都市化して、海苔の漁場が減っても、あきらめずに生産を続けてきた海苔師さんには、どうか誇りをもって海苔づくりを続けていただきたいと願わずにはいられません。

でも、最も寒い時期の冷たい海での仕事が簡単ではないことは容易に想像出来ます。おいしい海苔づくりのための網の張り替えは、1回に200枚以上の網を小さな船で沖と陸とを行ったり来たりしながら運び、冷たい水の中に手を入れて縛り付ける作業だけでも約4000箇所。加えて、数年前からは魚や鳥による食害、ゲリラ豪雨などによると見られる大量の漂着ゴミの片付けなどに悩まされているそうで、神奈川の海苔師さんは1人減り、2人減り、現在操業を続けているのは横須賀の走水で10軒、横浜金沢地区に4軒のみ。

海苔カップ
今回お届けする「かなさんの新海苔畑」
にも入っております、海苔カップ!その
名も「そのまま食べれるのりカップ」。
おいしくかわいい、お弁当にもぴったり
のアイデア商品です!!

そして減り続ける家庭用の海苔の消費を増やそうと、海苔カップというアイデア商品までつくって神奈川の海苔づくりを支える漁連のみなさん。

さてさて、私たちに出来ることはいったいなんでしょうか?
便利な保存食として1年中出回るために忘れられていた海苔を味わう愉しみを、この機会にみなさまもぜひご一緒に。

<この特集の執筆は、野菜ソムリエの石川アミさんにお願いしました。>

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