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地産地消のススメ

かなさんの仲間通信~地産地消の輪

第3回 ナチュラルフランス料理 エリゼ光 六川 光さん

私は神奈川県三浦市の農家に生まれました。県下でも農業者の多い露地野菜産地だったため、一定の経営状態の農家子弟ならば就農するのはあたりまえの地区でした。そのため、私も特に逡巡することもなく1985年に就農しました。

地産地消。最近、よく耳にする言葉ですが、私が独立し店を始めた11年前には、その言葉を耳にすることはありませんでした。本当に最近の言葉と思われます。


日本初の西洋野菜?アーティチョーク

私は独立した時から地産地消に取り組んで来ました。フランスで修行して学んだ事の一つに、その土地の産物を使って、その土地ならではの料理で、お客様を、おもてなしする。その土地で収穫された産物、その土地で水揚げされた産物を使い料理を作る。すると、その土地ならではの料理が必然的に生まれ、それが地方名物料理となり、その料理を食べたくて各地から、お客様が集まる。これが地産地消で、生産者、そして、その土地の料理店が繁栄するシンプルな考え方なのではないでしょうか。近年の目覚しい流通革命と豊かさが、いつしか身近な良き産物を忘れ去り、遠くの産物が良く見えるようになり、豊かさの力により、より遠くの珍しい産物に飛び付くようになり、身近にある、自分達の素晴らしい産物が忘れ去られるようになってしまった。変な考え方に聞こえるかもしれませんが、毎日の食生活、必ず、どこかで、何か食材を購入し料理を作るはずです。どうせ、お金を払うなら、自分の身近な人に払う。今回のテーマで言うなら、県内にある食材ならば、県下の生産者が収穫した産物を購入し、自分が住んでいる土地の人達に、お金を落とし、お互いに良い方向に助け合う。このような考え方も地産地消の意味に繋がると思います。


美しい紫色のトスカーナ

さて、私は、この11年間、神奈川県下を回り、素材を探し求めて来ました。結果、神奈川は素材の宝庫。沢山、沢山、神奈川には、ここでは紹介しきれないほどの良質な素材があります。海、山、そしてそこに広がる畑から、様々な産物が生み出されております。これほどまでに恵まれた地域は稀ではないでしょうか。そしてなにより、横浜は、明治開港と共に様々な西洋文化と共に、西洋野菜が日本に伝わった先駆けとなった場所。三浦半島の畑では、横浜開港と共に伝わった珍野菜アーティチョークが実る。このアーティチョークも神奈川が誇る特産品と言えましょう。アーティチョークは、武藤 治朗兵衛が外国人から種を貰って、横浜の別荘地とも言える三浦半島で栽培し始めたのが始まりです。この珍野菜は当時もそうですが現在になっても、その存在は知られざる珍野菜。治朗兵衛は変わり者だ。あれはなんだ?人々はアーティチョークを見回しながら、これが食えるのか?どこを、どうやって食べるのだ?それは今も昔も変わってはいません。日本に伝わった初の西洋野菜かもしれない、この珍野菜は現在、武藤収(おさむ)さんによって引き継がれ、新たにトスカーナと呼ばれる紫色のアーティチョークが加わりました。海に面した三浦の畑はヨーロッパ地中海の風土に似ていてアーティチョークを栽培するには絶好の適した場所と言えるでしょう。


アーティチョークの花

アーティチョークは、花のつぼみを食用として食べます。花が咲いてしまうとスジっぽくて、食べる事が出来なくなってしまいます。でも花は花の価値があります。何とも言えないゴージャスな花は、人々の心を圧倒する美しさです。ただ、よく勘違いをされますが、観賞用のアーティチョークと食用アーティチョークは別物です。こうした、その土地でしか出来ない、その土地にあった素材が、その土地の特産品となり全国へと神奈川の特産品として発送されなければならないはずですが、地元に住んでいる人ですら、知らないのが現状です。明治からずっと栽培されていると言うのに・・・。消費者の皆様に、これを機会に自分達が住んでいる土地の産物を知って頂けたら幸いです。


アーティチョークを育てている
三浦の武藤さん

アーティチョークの旬は、5月~6月。
旬のアーティチョークの美味しい食べ方は、レモン汁やレモンスライスと一緒に丸ごと茹でてから、ガクを一枚、一枚、剥がしながら、根元にチョンとお好みのドレッシングを付けて、歯でしごきながらガクの根元部分だけにある果肉を食べる。ガクを全部食べ終えると、そこから、本来のアーティチョークの一番美味しい身の部分が現れます。ビン詰めなどの加工食材でよく目にするアーティチョークは、この部分で、ガクと共に楽しめるのは旬の時のみです。
何か、我々がいつも食べている素材に似ておりませんか?ビールと共に食べる、あれ。そう。枝豆に食べ方が似ておりませんか。ヨーロッパでは、ワインを飲みながら、このアーティチョークを楽しみます。
その他、アーティチョークは、様々な効能があるとされている野菜です。
春が訪れたら、武藤家に明治から伝わる西洋野菜、アーティチョークを是非、神奈川にお住まいの皆様に味わって頂きたいと願っております。

執筆者プロフィール

六川光さんの写真

六川 光(ロクガワ ヒカル)

フランスの三ツ星レストラン、ラ・コート・ドール、ジャックマキシマンなどで修行、23歳でシェフに就任。

30歳でナチュラルフランス料理 エリゼ光を独立開業、

現在に至る。

ナチュラルフランス料理 エリゼ光

http://www.elysee-hikaru.com/(外部サイト)

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