ここから本文です。

第19回 農業 野路 稔さん

神奈川県厚木市山際の依知(えち)地区で農業を営んでいる野路(のじ)です。

我が家の経営内容は、稲作4ha、露地(ろじ)野菜1.5ha、ハウス200坪。
野菜は秋冬野菜が中心で大根、ネギ、ごぼう、にんじん、キャベツ、里芋、長芋、生姜、白菜、さつま芋、ほうれん草。ハウスでは、トマトを栽培しています。
特徴として、品種が自家採種(じかさいしゅ)(注1)によるオリジナル品種という事です。
我が家のオリジナル品種の始まりは、大根で「中太大根」品種名は「晩野路(おくのじ)」です。私の父、野路重丸(のじしげまる)が昭和56年に品種登録しました。特徴は、耐寒性の強い越冬(えっとう)どりの晩生種(ばんせいしゅ)(注2)。肉付がよく、中大型、表皮は滑らかで光沢があり乳白色、肉質は純白で多汁質です。
次にネギ 品種名、湘南一本。
神奈川県旧園芸試験場で昭和35年に育成された根深ネギの、品種「湘南」を元に改良し、良食味の特性を維持しつつ、葉(よう)しょう部(ぶ)(注3)の伸長がよく、分(ぶん)けつ(注4)及び葉折れが少ない栽培上の特性を持つ商品性の高い品種にし、2007年に品種登録されました。
その他、育成している品種は、
 大長ごぼう…独特の薫り、風味を持った品種
 ほうれん草…東洋種の日本ほうれん草、自家採種による育成中。
 里芋…蓮葉系の在来種 です。

野路さん

では、これらの野菜をどう売るかです。
販売先をいくつかご紹介します。
ひとつは、野菜ソムリエのいる青果店「やさいのナイトウ」。
“畑で野菜を買うような八百屋を”という内藤さん。仕入れは市場の他、全国の生産者を訪ね歩き、自ら野菜を仕入れています。
「農家さんの思いをお客様に伝えるのが八百屋の仕事。野菜で大切なのは甘みだけではなく風味。土の良さからくる風味のよい野菜の味に気づいてほしい。」とシニア野菜ソムリエの資格を持つ株式会社やさいのナイトウの社長、内藤さんの言葉。
我が家の野菜の特徴をちゃんと消費者に伝えられる八百屋さんです。
内藤さんには、野菜全般を仕入れて販売をしてもらっています。

ほうれん草の販売先は直接販売が多く、新聞に紹介されたのがきっかけで個人のお客様に直送または宅配便で対応しています。
直送のお客様の中には、東京荻窪のカレー専門店「すぱいす」があります。
12月~3月上旬ごろまで、寒さで甘みがのったほうれん草をペーストにして利用するため、根付で40cmぐらいの大きさまで育てて販売しています。
知り合ったのは、テレビ番組です。
「すぱいす」のカレーと我が家の日本ほうれん草。そのときの日本ほうれん草の味を生かしたカレーがメニューになり、それ以来のお付き合いになります。

大根(中太晩野路大根)は、12月下旬に正月料理用として、市場からの注文で出荷します。

野路さん 畑

その他、200坪のハウスは、神奈川県農業技術センターで育成したトマトを栽培しています。長粒種のトマトで今年3月に「湘南ポモロン」という名前がつきました。このトマトをかれこれ10年ぐらい、スーパー(相鉄ローゼン)で販売しています。
あとは、新聞、テレビで紹介されてからは、個人のお客様からの注文で宅配販売をしています。
これらの野菜は、その品種の美味しい時期、旬の時だけ販売しています。
私はこれまでおいしい野菜を作ることにこだわってきました。それには美味しい野菜の種を作るところから始まり、栽培しにくくても1年1年勉強しながら作る努力をする。そして自分の気に入ったものを残す。
美味しい野菜なのに栽培しにくく、なくなりそうな物もあります。そういう野菜の種を残す。
我が家の野菜は、ここの風土、1m以上の黒ボクの耕土(注5)、冬の寒さで美味しくなります。
神奈川県の育成品種でおいしい野菜は他にもたくさんあります。
適地適作でおいしい野菜になり、県内で生産され、県内で消費する。まさに地産地消ではないでしょうか。

注1:自家採種…買ったりもらったりせず、自分で育てた野菜などから種を採ること
注2:晩生種…生育期間の短いものから順に早生・中生・晩生に分けた場合、生育期間が比較的長いものをいう
注3:葉しょう部…ネギは緑色の「葉身」と白色の「葉しょう」に分かれるがその白色の部分のこと
注4:分けつ…複数に枝分かれすること。分けつしやすさは品種により異なる
注5:黒ボクの耕土…主に火山灰が風化し、有機物がたくさん含まれている土

 

野路稔さん野路 稔(ノジ ミノル)

厚木市で30年農業を営む。

 

やさいのナイトウ
http://www.yasainonaito.com/
インド風カリーライス すぱいす
住所:東京都杉並区荻窪5-16-20
電話:03-5397-3813
定休日:日休

 

ページの先頭へ戻る