かなさんの仲間通信~地産地消の輪
第1回 シニア野菜ソムリエ 土方 康子さん
私は神奈川県大磯町に生まれ育ちました。海も山もあるという大変環境に恵まれた土地です。父の実家には山があって、春はたけのこ堀りや田植えをし、初夏にはお茶摘み、秋になると栗を拾ったり、みかん狩りをしたり、と季節毎に様々なことを遊びながら体験していました。家のまわりにも野菜を育てている人が結構いて、家族で出先から帰ると玄関先に誰かが育てた野菜を置いていってくれていたりすることもしばしば。それを「誰かしら」と言いながら確認する前にいただいてしまったりして。(そうしている間に届けてくださった方からお電話が入ったりするのですけれど。)そんな環境に育ちましたので、その日採れた新鮮な野菜や果物が食卓に並んでいるのが当たり前のように感じていました。
湘南ゴールドゼリー
大人になって東京で暮らすようになり、スーパーで買う野菜に物足りなさを感じていたのですが、その理由が分かったのは野菜ソムリエの勉強を始めてから。お店に並ぶ野菜は収穫されてから出荷され、市場を経由して店頭に届くまでに時間が経っていたのですね。このことを知って、私は自分の育った環境にとても感謝するようになり、畑仕事をして土まみれになった父の姿が誇らしく、かっこよく見えるようになりました。
神奈川県は三浦など大きな野菜の生産地もありますが、多くは小規模農家で、全国規模で出荷されている野菜や果物は少ないのが実情です。だからといって美味しいものが少ないということではなく、むしろ味にこだわって美味しいものを作っている生産者さんがたくさんいます。私は今、全国から最高レベルの果物が集まる環境で仕事をしており、美味しい果物を口にする機会に恵まれていますが、それでも県内の直売所で買った果物の美味しさに感激することもしばしば。こんなに身近に美味しいものが揃っているのにそれを食べないのはもったいないですよね。私はもっと自分が育った神奈川の野菜や果物について知りたいと思い、野菜ソムリエの資格を持つ神奈川在住の人たちが作るコミュニティ「野菜ソムリエコミュニティかながわ」に入会しました。会員は主婦やサラリーマンの他、八百屋さん、生産者など職業も世代も様々です。そこでは「ロコベジ(「ローカルベジタブル&フルーツの略)ゼミ」と称して、毎月畑を訪れ生産者さんのお話を伺ったり、勉強会を開いたり、自分たちが講師となって県産野菜や果物の魅力を伝えたり、といった活動をしています。今年は、去年から県とともに企画を進めてきた湘南ゴールドの産地を訪れる「湘南ゴールドバスツアー」も実現しました。またデパートで行われた湘南ゴールドのPRイベントでは、私がレシピを考えた湘南ゴールドゼリーが試食として配布されたんですよ。
フラワーアレンジメントと果物
最近は生産者の方に直接会える直売所も増えてきましたね。スーパーばかりでなく、直売所を訪れてみると作り手のこだわりが聞けたり、新しい食べ方を教えてもらえたり、思いがけずおまけをしてもらったり、と楽しいことがいっぱい。自分の食べるものを作った人の顔が分かっていれば安心ですし、大切にいただこうという気持ちにもなるでしょう。そして、これは私の考えですが、自分が空気を吸って水を飲んで過ごしている、それと同じ環境で育った野菜や果物というのは、私たちのからだにとって最も負担が少なく安全だと思うのです。
最近もともとの趣味であったフラワーアレンジメントと果物を組み合わせた新しいスタイルの教室も始めました。そこでは単にアレンジを習うだけではなくて、果物や生産者さんも紹介していく予定です。将来はコミュニティのみんなで神奈川県産の食材にこだわった「ロコベジカフェ」なんてできたらいいなと思っています。
これからも、神奈川県産の野菜や果物の魅力を広めるために、私ができることを一歩ずつ進めていきたいと思います。
執筆者プロフィール
土方 康子(ヒジカタ ヤスコ)
フルーツコンシェルジュ/シニア野菜ソムリエ。元国際線客室乗務員。
日本野菜ソムリエ協会運営料理教室立ち上げに従事。
現在はフルーツ専門店にてフルーツコンシェルジュとして立つ他、花とフルーツのサロンDear Fruitsを主催する等多方面にて活動中。
フルーツやお料理、フラワーアレンジメントを中心としたダイアリーをこちら(http://ameblo.jp/vfcooking/(外部サイト))で紹介していますので、ぜひご覧ください。