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地産地消のススメ

かなさんの仲間通信~地産地消の輪

第22回 よしみ農園 吉見 敦司さん

丹沢の麓、相模原市緑区の津久井地区で、野菜を栽培しているよしみ農園の吉見敦司です。2007の春に新規就農して、8年目を迎えようとしています。

新規就農するまでの経緯

横浜で生まれ、横須賀の住宅地で育ち、農業とは全く縁なく育ちましたが、小さな頃から農業にぼんやりとした憧れがありました。登山ばかりしていた学生時代に、山に囲まれた自然の豊かなところで生活がしたいという思いを強めたことも重なり、農業にチャレンジしたいという気持ちが強くなりました。
大学卒業後、愛知県設楽町の設楽農学校で研修生として働き、その後農業生産法人で主にトマトの栽培に8年間携わりました。

よしみ農園の温室

将来は出身地の神奈川で独立して農業をやりたいという気持ちがあり、実家に帰省するたびに神奈川県内を回り、就農地選びを進めていきました。その中で出会ったのが津久井の青根という地域です。山梨県境に近い青根は標高450mと、農業ができる土地としては県内では最も標高が高く、また丹沢の山々から落ちる沢水が豊かで水に恵まれていることから、夏にトマトを作りたいという私の希望にかなった場所でした。地域の皆さんのご協力で貸していただける農地も見つかり、2007年の春に就農しました。

経営概要

温室の内部

現在は津久井地区の中の標高450m・300m・150mの3つの地域に畑があります。春から秋にかけては標高が高く涼しい青根でトマトを、秋から冬は標高が低く暖かい別の地域でニンジン・コマツナ・ホウレン草・ナバナなどと、季節によって場所を変えて栽培しています。栽培面積はハウスが20a、露地が約1.5haです。

 

作付けされたトマト

地域の循環を意識し、地域の有機物を有効に活用して土作りをし、肥料化するようにしています。使用する農薬・肥料はできるだけ有機JASで認められているものかそれに準じたものを使っています。
「作物がいつも健康であること」をテーマに、ミネラルのバランス良い効かせ方をいつも意識して取り組んでいます。

 

野菜を持つ吉見さん

販売先は、自然食品「こだわりや」の県内・都内の10店舗、横浜高島屋、らでぃっしゅぼーや、相模原市内の生協、量販店、レストラン、直売所などに直接納入しています。作り手・売り手・買い手の本当の意味での顔の見える関係を目指して、お店に試食販売に出向いたり、畑の見学・農業体験などを行っています。

また、近隣の小学校の学校農園のお手伝いや農業体験の受け入れなどにも取り組んでいます。

日々感じる農業の楽しさと厳しさ

農業という仕事は、この短い文章ではとても語り尽くせないほどに魅力にあふれていると思います。日々生長していく作物の姿には、本当に毎日感動させられます。栽培している作物だけでなく、目に見えない土の中の微生物から畑を行き交う虫や鳥、田んぼに注ぐ水、畑を渡る風のにおい、多くのいのちに囲まれその存在を感じながら仕事をし、暮らしてゆけることの豊かさは、何ものにも変えがたいものです。

一方、新規就農して7年経ちましたが、栽培技術はまだまだ未熟で、上手くいかないことばかり。「作物を健康な状態に保つ」のは本当に難しくて、試行錯誤の連続です。数々の失敗を繰り返し、へこたれることもしばしばです。でもそこを、土や作物、微生物、肥料などについて学んでいくことで少しずつクリアしていくのも楽しさのひとつです。学べば学ぶほど、奥の深い世界に引きずり込まれていきます。

地域の農家の仲間作り 研修生の受け入れ

自分の今の技術を支えているのは、今までに出会った多くの農家の方々のアドバイスや教えです。それらと自分の経験を人に伝えていくのが恩返しになると、研修生の受け入れをしています。栽培技術だけでなく、就農に向けて土地・家探しや経営面のアドバイスなどの支援もしています。今年度は2人の研修生を受け入れ、2人とも春から同じ地域で就農します。思いを同じくする農家が同じ地域に増えるのは、私にとっても大きな支えになります。肥料や機械などを共同購入したり、ともに販路を開拓したり、思いや技術、経営的課題などみんなで共有できる仲間作りを、志を共にする地域の農家と進めていきたいと思います。

やってみてわかった農業の社会的価値

農業は、人の命と地域の自然の循環を支え、教育・医療・環境など社会のあらゆる「いのち」に関わることと深くつながった、世の中でもっとも大事な仕事であるということを、農業を自分でやって初めて知りました。本当の意味での循環型社会、豊かな地域を作るには、農業が町づくりの中心になるはずですし、農業の果たせる役割はもっと多様にあると感じます。そのために、農業のことを知らない、かかわる機会のない多くの人に、その魅力や大切さを伝えていくことがとても大事なことだと思いますし、農家としての責務だと思っています。本当に豊かな地域・社会とはどんなものなのか、地域の人達とともに、農業を通じて考えていきたいと思っています。

執筆者プロフィール

吉見敦司さんの写真

吉見 敦司(よしみ あつし)

昭和45年12月27日 横浜生まれ

横浜市立大学卒業後、愛知県の農業生産法人で主にトマト栽培に携わる

2007年、相模原市緑区青根に新規就農

妻と子ども3人の5人家族

e-mail:yo-shimi@wj9.so-net.ne.jp

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