かなさんの仲間通信~地産地消の輪
第31回 生きるのねっこ 中庄 さとりさん
地産地消と私の夢
私は横浜市を中心にフリーで食育の活動をしています。
食育は生きることの土台となるもの…なので屋号を「生きるのねっこ」としました。
子育て中のママを対象とした食育教室や学校での出前授業、食育イベント等を通して、「生きるチカラにつながる食育」を目指しています。
具体的には、地産地消の良さを伝えながら地元の農家さんの食材を使っての料理教室、地球環境にも家計にもやさしいエコ・クッキング、家族を守る非常食講座、楽しみながら食育を学ぶ「食リンピック」等を実施しています。
私が食育をライフワークにしているのは、親や社会から感動体験を伴う食生活の機会をもらっていたからでしょう。
釣り好きの父が生きているタコを釣ってきて、吸盤の吸いつく感じ、ヌメヌメしたタコを茹でたら一気に足がクルクルとなって可愛らしくなった時の感動や驚き…そういった感動も含めていただくことで心と体の栄養にしてきたのだと思うのです。
20年近く前に新卒栄養士として働いた保育園で「食育」という名称と出会いました。
苦手な野菜が多くて叱られながら食べている子、半ば無理やり口に入れられている子を見て、「何か違うな、何とかできないかな…。」そう思っていたある日、研修会で知った食育に「これだ!」と思いました。
幸いすぐに実践させてもらい、給食前に食材のお話をしたり、クッキングをしたり、魚屋さんに来ていただき大きなサケを目の前でさばいてもらったり(この時、子どもの時にインパクトが強かった『タコをゆでる』も実演してもらいました!)…
そうしたら子ども達の変化がすぐにわかったのです。給食を自発的に楽しそうに、食材を話題にしながら食べていたのです!嬉しかったですね。この時に子ども達と分かち合った感動もまた、今の私の原動力です。
その後は管理栄養士の資格を取得して臨床の現場も経験しましたが、やはり食育は楽しかったなぁ…と思い出す中、長男を出産。その年に「食育基本法」ができました。
自然とまた食育に関わる仕事がしたいと思うようになり、食育教材の企画・製作の仕事をするようになりました。この経験は大きな財産でしたが、子どもに会わず、土にも食材にも触れることもなく、オフィスでパソコンに向かって情報を集めて企画や発信をすることに疑問を感じてしまいました。これで「食育やってます」って言えるのかしら…と。
そこからは市民農園で体験をさせてもらい、昨年から農家さんの農業塾に入ったり、横浜の地産地消の案内人である「はまふぅどコンシェルジュ」を受講したことで農のある暮らしがぐっと身近になりました。新鮮な野菜の美味しさに感動し、仲間や農家さんの知り合いが増え、横浜は沢山の畑が残っていて多品種の新鮮野菜が食べられる都市であることも知りました。
一時期は子育てをする環境としてもここでいいのか…と悩み、田舎暮らしを夢見たのですが、「なんだ!こんなにいい場所だったのか!知らなきゃ損!」と感じ、地産地消と横浜農業の良さを発信しています。
旬の地元野菜は新鮮で美味しい・栄養価も高い・輸送エネルギーも少なくて環境にもやさしいことはもちろんですが、少しでも農体験をすると「農家さんて大変だなぁ、手間暇かけて育てているんだなぁ…。」と実感します。
作り手の顔を思い出しながら食べると、より特別な気持ちで大切にいただくことができます。
生産者を応援すること、生産者と消費者をつなぐ機会を増やすことも私の役目です。
関心の薄い方も地産地消の良さを知るきっかけ作り、その種まきを楽しく地道に続けていきます。
執筆者プロフィール
中庄 さとり(なかしょう さとり)
1977年生まれ
管理栄養士 はまふぅどコンシェルジュ エコ・クッキングナビゲーター
「生きるのねっこ」主宰
食育講座・イベント・コラム執筆などで食育を広めています。
主人と男の子2人の4人家族