かなさんの仲間通信~地産地消の輪
第34回 飛田柑橘園 飛田 泰典さん
飛田柑橘園は、神奈川県の最西部の温泉が有名な湯河原町にあり、相模湾を眼下に温暖な気候と良質な柑橘の栽培に必要な土壌の好条件が揃っている地域に畑があります。
全国的にも珍しい柑橘栽培の最適地として、知る人は知っている土地ですが、耕作放棄地も増え続けています。
それには色々な要因があり、その中の一つに、「柑橘の消費量の減少」があると思います。それは人口の減少、嗜好品の豊富さ、フルーツの多種多様化、柑橘の品種の乱立などのさまざまな要因もあるかと思います。最近、柑橘の種類も増え、ほぼ通年、楽しめるようになってきました。小売店などでは選択肢が多すぎて、それぞれの違い・魅力をPOPなどで「甘い」「酸っぱい」でしか表現おらず、その柑橘の楽しさはもっと他にあるのにな、と過去に感じたことがありました。
6年前、私は、サラリーマンから転職し就農しました。サラリーマン時代の経験をいかしつつ、我が家の経営を継続させていく為、考え生み出したのが「飛田柑橘園の季彩オイル」です。我が家がこだわる「繊細な味、風味」を感じていただける方にアプローチしたいと考え、「風味」に着目した商品を開発しました。従って、この商品は我が家を知っていただくための一つのツールです。
飛田柑橘園の季彩オイルは、オリーブオイルやココナッツオイルに旬の素材を使い、「季節を楽しむオイル」、柑橘を「風味で楽しむオイル」、柑橘を「より楽しくするオイル」を主にしています。
例えば、春には「サクラフレーバー」、夏は「ハーブ」といったように、秋から初春、初夏にかけて「それぞれの季節の柑橘」を年間約20種、加工し販売しています。これらは全て湯河原で楽しめる・感じることができる(栽培された)素材です。
販売開始から約4年たちますが、その中でも「バジルフレーバーオイル」×「みかん」、「ゆずフレーバーオイル」×「みかん」といった組み合わせなど、意外と楽しめることが徐々に分かり始め、新しい魅力の提案にも繋がってきていると実感しています。
柑橘農家が楽しんでいる、甘い・酸っぱいだけでない、忘れられた価値を再度見つめなおし、旬の時期に柑橘のそれぞれの風味や楽しみをもっと伝えられるような環境を個人として提案し続け、共感してもらえたら、もっと柑橘の需要も増え、また、供給者の経営改善に繋げられたらと思います。
その為にも、継承することは大切にし、過去の農家にとらわれず、これから起こりえる需要の変化に対応できるように、小さな農家として出来ることは何かを常に探求し続け、微力ながら地域の発展に繋げ、飛田柑橘園のミカン、湯河原の柑橘の発展に繋がればと思っています。
執筆者プロフィール
飛田 泰典(ひだ やすのり)
大学卒業後、飲食店や小売店などでサラリーマン経験をし、2010年から家業である柑橘農家となりました。
HP:https://hidakankitsuen.stores.jp/(外部サイト)
FB:https://www.facebook.com/hidakankitsu(外部サイト)